瀬戸芸2019-高松港~小豆島②(10/7前半)
7時に目が覚める。思いの外早く起きられた。
行ってみたかった有名うどん店「うどんバカ一代」に徒歩で向かう。
以前来た時は休日だったこともあり、100人は並んでいたので諦めたが平日の朝一ではさすがに並ぶほどの人はいなかった。(とは言え店内は8割方埋まっていた。)
釜揚げうどん、卵の天ぷら、おにぎりを頼む。いりこだしが良く利いていて美味しい。
身支度を整え、バイクで港に向かう。時刻表を見ずに行ったら、小豆島行きの船が出る10分前だった。ターミナルの入口で係員から誘導され、慌ててチケット売り場に並ぶ。無事乗船。車も人もそれなりの入り。約1時間で土庄港着。入港する際、出向してくる小型船あり。こちらの乗客がデッキから手を振ると振り返してくれる。
下船したがどこに行けば良いかよく分からない。とりあえず適当に走り出す。
瀬戸芸とは関係ないが、ギネスブックにも載っている名所が小豆島にはある。
なんでも、狭さ世界一の海峡とのこと。海には見えないほどの幅だが、小豆島と前島を確かに隔てているれっきとした海である。
バイクと一緒にそれを示す看板を撮る。瀬戸芸ついでに来たと思われる観光客もちらほらいる。
肝心の展示はどこだ、というのがやはり分からないままだったので海峡の目の前にある町役場の駐車場にバイクを停めて地図を確認する。町役場付近と、土庄港付近が近辺の展示場所とのことだった。町役場に駐車しておいて良いものか分からなかったのでとりあえず土庄港に戻り、港の駐車場にバイクを置く。
(行き当たりばったりで行動するのでこういったグダグダな道行きになりがち)
sd01~04 土庄港付近
土庄港ターミナル内に「ART NO SHOW」というのが掲示されている。
「ああとのしょう」という響きがなんだかカワイイ。
①太陽の贈り物(sd01)
小豆島の玄関口で人々を迎える金色のオリーブの円環。
ちょうど船が入ってきたタイミングで、それを迎え入れるかのように円の中に船が収まった。うまく写真には納められなかったけど。
②再び・・・(sd03)
銀色に輝く金属彫刻。山(島)とそこから広がる波のように見える。
ターミネーター2のT-1000っぽい。(ちゃんと見てないからよく知らないけど)
日の光を反射していて、視点を変えると反射が波紋のように動いていくのが綺麗だった。
タイトルの「再び・・・」というのはよく分からない。
③アートノショーターミナル(sd02)
土庄港ターミナルの一角に展示されているスパイクドレス。
床一面に大小のトゲが敷かれており、その中に本体のドレスが置かれている。裏に回ると、ドレスの後ろに階段があってそれに登った人を正面から見るとドレスを着ているように見える。
みんな写真を撮っているが一人旅の身としてはなすすべがない。ちくしょう。
二階には同じ作家の展示が並んでいるがよく分からなかった。直線だけで構成された「合理」「宇宙」というのは気に入った。
町の展示を見るときにバイクはどこに停めればいいか案内所で聞くと、役場の駐車場を使えとの答え。無駄な移動を繰り返している気がしてならない。
駐車場からバイクを出そうとすると、駐車券を機械に入れてもエラーが出てしまう。何回か試すも、とうとう機械がこちらの存在を認識しなくなり、駐車券を受け取ってすらくれなくなったのですごすごと退散した。待合所の人に相談すると役場の人を呼んでくれた。
待合所のベンチに腰かけて待っていると、隣に座ったおじさんから「瀬戸芸ですか?」と声を掛けられる。
どこから来たのか?などという質問に答えているうちに段々雲行きが怪しくなってきて、彼が言うには「このような催し物は海外の人も含めて多くの人が動くことになる。多くの人が動くと二酸化炭素の排出が増える。地球温暖化防止が急務のこの時世に反している。故に瀬戸芸は止めるべきだ」との自説を開陳された。
そうですかそうですかと聞いているうちに役場の人が来てくれたので「それでは」と言って立ち去った。
役場の人が手動でゲートを開けてくれたので駐車場を出る。こんなことで手間を取らせてしまい申し訳ない・・・。
再度、役場の駐車場に停め、すぐそばにある展示エリアに向かう。街の入口には「迷路の街」という看板が掲げられている。
かつて、海賊が度々現れたため、防備を考慮して、入り組んだ街路を形成したらしい。実際に歩いてみると、道がところどころで湾曲し、細い路地が縦横無尽に張り巡らされている。
喉が渇いたので喫茶店に入ってオリーブ茶を頼む。オリーブオイルを薄くしたような美しい色をしている。
喫茶店の向かいには妖怪博物館というのがあるが、そこまで興味がないのでパス。街のあちこちに妖怪博物館が点在している。プチ瀬戸芸という感じでなんだか楽しそうではある。
目当ての展示の場所がどうしても分からずさまよう。さすが迷路の街(ただの方向音痴)。
とりあえず諦めて次に進むことにする。
土庄港から北に向かって少し走ると四海地区に着く。本島からほんの170m離れたところに沖之島という小島がある。渡船で渡る。
④OKINOSANG/元気・覇気・卦気(sd05)
島の岸壁やそこらに水晶ダイヤが設置されており、光の加減でキラキラして見えるということを、船を待っている間に船頭さんが教えてくれる。(12時半に着いたが、13時まではお昼休みらしい)
対岸からでも見えるよ、とい言うので岸壁をうろちょろしていると上手い具合に光が当たっている場所を見つけた。対岸で、赤い星のような光がキラキラしている。
対岸に渡る。
白い小さな点が映っているが、それが設置された水晶ダイヤ。分かるかな?分かんねぇよな。
展示自体はキラキラしてて綺麗だなぁという程度の感想。
むしろ、こんなイベントがなければ一生来なかったであろう島を訪問できたこと自体が楽しい。埋め込まれている水晶ダイヤを探しながら探検気分で島を巡る。
船を待っている間、どうやって生計を立てているんだろうと思っていたら、件の船頭さんから大体は漁で生計を立てていて実は結構儲かっているとのこと。
島のそこかしこに植えられたオリーブの木や花々が美しい。生活は不便(買い物は土庄のスーパーまで自前の船で行くらしい)だろうけど、意外とそう悪くない生活を送っているんだろうなぁと思う。
渡船で本島に帰る。沖之島内に飲食店はあるものの、観光客向けで平日は営業しておらず、お昼を食べ損ねている。
空きっ腹のまま再びバイクにまたがった。
2日目後半へ続く。
瀬戸芸2019-高松港~小豆島①(10/6)
旅行者というのは大体において勤勉である。
行程、目的地を念入りに検討し、思い描いた旅程を予定通りにこなすためには早起きも厭わない。
翻って己はどうか。
旅行好きを公言しながら、旅行に行こうと思い立つのは早くても出発の1日前である。当日に思い立った場合はお昼過ぎまで行くかどうか逡巡して、無駄に時間を浪費することもしばしばある。
瀬戸芸に参加した初日もその例に漏れず、起きたのは朝の9時だった。起きてから煙草を吸い、長いことぼーっとした後、その日の予定を考えているうちに、瀬戸芸の会期が終わりかけていることに気づく。パスポートも買ってあることだし行ってみるかと思う。
結局家を出たのが13時頃で、バイクに乗り11号線を辿って高松に着いたのが15時頃。
高松港フェリーターミナルが瀬戸芸の窓口にもなっているので、そこでパスポートを引き換える。
3連休だったので、元々泊まる前提で来ており、次の日の行先は宿が取れたところにしようと思っていた。しかし、ゲストハウス何件かに電話するものの全滅。会期中はそもそも宿泊施設が少ないところに国内外の観光客が押し寄せているので、後から考えると無謀だった。
宿は決まらないが、とりあえず近場の展示を見始める。
①国境を越えて・海(tk02)
1作品目。高松港そばの公園エリアに鎮座している。
係員らしきおじさんがいたのでパスポートを提示するも、「要らない」と言われる。何だそのトラップ。作品名と番号が表示されている看板にスタンプがぶらさげてあるので、勝手にパスポートに押す。
種のモチーフの船。漂流して波止場に打ち上げられた船。
解説を読む前は宇宙船のようだと思った。全面が広く宇宙に対して開けている船。根っこはブースター。今でもそんなに間違っていないと思う。
蛙とか牛の小さな像が据えられていた。可愛い。ノアの方舟的な意味合いも持たせているのだろうか。
②銀行家、看護師、探偵、弁護士(tk03)
高松築港駅前のパブリックアート。夕暮れの高松の退勤風景にマッチしている。
横を歩いてみると、彫刻が自分の横を本当に歩いているみたいで楽しい。
タイトルの通り、それぞれ職業が与えられているみたいだけど言われんと分からん。
tk06~10 北浜ギャラリー
高松駅から結構歩く。途中、宇高国道フェリーのターミナルの横を通る。
北浜エリアは元々宇高航路の倉庫街だったところをリノベーションして、お洒落な雑貨屋、レストラン、ギャラリー、結婚式場などとして改装した街区。
瀬戸芸期間終了後の話にはなるが、宇高航路自体が2019年末には廃止されてしまった。
③LEFTOVERS(tk07)
建物の間の細い路地に石のシャンデリアが吊り下げられている。
タイトルは、後で食べたりする残り物などを意味する言葉との由。
石工が残した庵治石の破片、建物のスキマの細い路地、そしてこの北浜というエリア自体が宇高航路の倉庫街としての役目を終えている「LEFTOVER」。何かに使えるかもしれないと放置されていたぼんやりした存在、これらが組み合わさった作品。
解説を読まなければ単なる綺麗なエクステリアだけど、背景を知ることでとても愛おしいものに思えてくる。
④うどん湯切りロボット(tk09)
2代目湯切りロボットの湯っくん。
くじを引いて当たりが出るとうどんを食べさせてくれる。芸術祭とは?
当たったので早速デモンストレーションしてもらう。タボにうどんを入れると、湯切りから出汁を注ぐところまでやってくれる。半玉まで湯切り可能とのこと。
初代の温(ぬ)っくんが1/4玉まで、湯切りのみ可だったのでそこから考えるとかなり改良されている。しかしビジュアルは温っくんの方が可愛い。
⑤Watercolors(tk10)
瀬戸内海の海底に沈んだ人工物が作った漁礁の風景。はじめに海藻が取り付き、酸素と隠れ家を求めて小魚が、そしてそれを食べようとする魚が集まってくる。
人が造った物が生み出す再生の景色、写真に映るあぶくがそれを感じさせる。海の底のモノクロの景色は涙が出るほど美しかった。
藻を模した帽子の展示もあった。カップルや友達連れが帽子を被って写真を撮っている。
自分としては珍しく自撮りで写真を撮ってみる。ちょっと気に入ったので瀬戸芸期間中のFacebookのプロフィール写真にした。
「どんなもんだろう?」と思って見に来た瀬戸芸だったけど、この展示がハマるきっかけだったと思う。この先どんな物が見られるのか、とても楽しみになってくる。
展示を見終わった後に何軒か電話して、瓦町駅付近のドミトリーに泊まることにする。
ウーロン茶を淹れてもらって店員さんと少し話す。瀬戸芸のために来たことを話すと、四国村はお勧めとのこと。
話しかければ愛想良く受け答えをしてくれて、話すことがなければ適当に放っておいてくれても息詰まりではない、距離の取り方がとても上手な人だった。
晩ご飯を食べようと商店街をふらつくもお店がなかなか決まらず、看板にキッシュと書かれているのに惹かれバルに入る。
キッシュは茄子と挽肉だったと思う。結構美味しかった。ポートランドのクラフトビールと併せて頂く。瀬戸芸のガイドブックを読んでいると話を振られる。明日は小豆島に行くと言うとしばらくいっていないとのこと。地元の人ほど観光地って行かないよね。
宿に戻ってからロング缶2本を空ける。時計仕掛けのオレンジを読もうと思ったが全く進まず。
ベッドは合板に囲われたカプセルになっていてかなり快適。シーツもセット済。
12時頃就寝。
北浜から高松港への帰り道で。
瀬戸芸2019
瀬戸芸というイベントをご存じだろうか。
3年に1回、香川県、岡山県で、高松港、宇野港や、小豆島、直島、豊島といった周辺の島々を舞台に開催される現代芸術のイベントである。
私が初めて参加したのが2019年に開催された瀬戸内国際芸術祭だった。
参加する前にもなんとなく名前は耳にしたことがあったが、どんなイベントかも知らなかったし、元々芸術にさほど興味がある人間でもなかったので、たまたま仕事の都合で、隣県である徳島県にいるタイミングでなければ参加していなかっただろうと思う。
(参加しようと思ったのも、たまたまtwitterで瀬戸芸の広告を見て、せっかく近くに住んでるし、ちょっと見に行ってみるかという程度だった。)
どれぐらい興味が薄かったかというと、3シーズンを通して使える通年パスを6月頃にネットで買ったのに最初に行ったのは10月の頭だった。気が向いたら行こうかなぁと思う程度で、チケットを買ってから何度か香川に遊びに行っていたのに、瀬戸芸のことが頭の片隅に残っているものの「今回も行けなかったけどまた今度行けばいいや」と思って済ませていたぐらいである。(後々後悔した。)
最初に行ったのが、10月の3連休の初日に高松港に行って、続く2日で小豆島に行った時だった。自分でもびっくりするぐらい夢中になった。
どれぐらい夢中になったかというと、10月6日に初めて行って以来、会期最終日の11月5日まで、1日か2日を除いて全ての休みを瀬戸芸のために費やしたぐらい。行けたのがたった1ヶ月間になってしまったのが惜しかったけど、ガイドブックを見ながら「どの島に行こうか」、「どの作品を見ようか」と考えながら過ごした日々はとても楽しかった。
駆け足になってしまったが1か月の間に14会場のうち10会場を巡った。
あれだけの素晴らしい記憶を、写真に残しておくだけに留めておくのはもったいないと思い、少し時間が空いてしまったが展示を見て感じたことや細々したことを文章に留めておこうという趣旨でブログを始めた次第。
美術に関する知識の無さや、表現力の不足から「○○に行って、××の作品を見て、面白かったー」程度のものになると思うけど、どんな展示があったかの参考程度にご覧ください。
それでは、ボチボチ書いていこうと思います。
皆様、島々の緑と海の青が溶け合う瀬戸内へようこそ。
【以下、本ブログの注意書き】
・写真は私が撮影したものです。無断転載はご遠慮ください。
・写真撮影可、公開可の作品のみアップロードしているつもりですが、注意書きを見落としている可能性がありますので、もしそういうことがあれば削除しますのでお手数ですがご指摘ください。
・美術に関しては全くの素人なので、的外れなことを言っていてもあんまり叩かないでください。
・しばらくは瀬戸芸のことを書き連ねるつもりですが、それ以外のこともそのうち書くと思います。